2010年07月30日

森で産まれ、森を食べ、森に食べられる 〜ヤノマミ族のはなし〜



それは、音のない本。

活字から伝わってくるのは、静寂の中の熱い鼓動。

そう例えたくなる一冊の書籍。
ヤノマミ (国分択著:NHK出版,2010)。


(一部、本の内容に触れる記述がありますので
 ネタバレしたくない方は、読まれない方が良いと思います)



奥アマゾンで、1万年にもわたり、独自の文化と風習を守り続ける人々。

それが、ヤノマミ族。

その部族と150日間過ごしたノンフィクションをまとめたのが、
NHK出版から出されたこの一冊です。


読み始める前、

「ヤノマミ。それは人間という意味だ。」

とかかれた、本の帯にひきつけられ、

いったい、
どういう意味なのか?を知りたくて知りたくて読み始めました。

本の中盤では、その意味がわからず、

ようやく、「あとがき」になり、
ぼんやりとした輪郭がみえてくるようでした。



本は、一貫して、ヤノマミの人々の暮らしを
淡々と書きなぞっていきます。


そこで著者が見た光景や感じた感情も、
そのまま、淡々と書きなぞられます。


決して、

「人間というものは、こういうものだ」
「私たちとヤノマミはこう違うんだ」

なんて、論評をする部分はありません。

ただ、ただ、著者が見た光景を、活字として描写するだけです。


それなのに、読んでいる私の感情の中には、
ヤノマミの鼓動が、ドクン・・ドクン・・
音を立てて騒ぎ立てるようでした。


今、生きている私たちの世界と、
ヤノマミの人々が生きている世界は、

全く同じようで、全く異なるよう。

今、私たちに植え付けられている価値観と、
ヤノマミの人々の価値観は、

全く同じようで、全く異なるよう。


「同じ生活をしてごらん・・・。」


・・と、云われても、とうていすることはできません。


それなのに、

どこかで、

今、自分が住んでいる世界が
違っているのでは無いか・・?と思ってしまうのです。


“それは、何なのか?”自分に自分が問いかけながら
本を奥へ奥へと読み進めていってしまいます。




“深いところに隠れていたはずの記憶が蘇ってくるように、
 心の奥底をざわつかせた。

 その得体の知れない「何か」と、
 答えの出ない対話を続けることになったのだ。”


 ー(本の序章より)


まさに、この感覚です。


私たちは、

「自分」を考えたり、「自分」を感じたり、
「他人」を考えたり、「他人」を感じたり、

することは、よくあることです。

しかし、

「人間」を考えたり、「人間」を感じたりすることは
ほとんど無いのかも知れません。

たとえ、「人間ってこうだよね。」・・と考えたとしても、
それは、私たちの世界、文化、文明の枠の中で生きる
自分たちだけの感覚でしかありません。


ヤノマミを通して、「人間」というものに
触れてみた・・・そんな1冊でした。






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posted by yoko.goto at 23:32| 神奈川 ☁| おすすめの一冊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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