2010年07月20日

入院の記憶





私は、数年前、入院をした経験がある。

忙しさにかまけ、自分の体調管理を怠ったためだった。


それまで、「病院なんて私の日常」・・・なんて
思っていたのに、いざ、自分が患者になった時、
それはそれは、見たこともない世界が、


そこにあった。


もちろん、入院は初めてだった。

数週間は、内服治療で経過を観察しなければならず、
日々がとても苦痛だった。

退院できない・・と思うと、余計退院したくなる。
じっとしていて・・・と云われると、じっとしていたくなくなる。


それまで、死ぬほど仕事を抱え、
夜中まで仕事をしていたのに、
病室では、全く仕事をする気にならない。


毎日、毎日、メソメソ泣いてばかり。


主治医がくれば、毎回同じ事ばかり訪ねる。


「退院はいつですか?」




そんな私を見かねたのか、ある日、1人の看護師さんが
私の血圧を測りながら、目も合わせず、ぼそっとつぶやいた。


“長い人生の中、数週間じゃない。
 神様が、休みなさいっていってるんだから、
 今だけ、ゆっくり休んだ方がいいよ。”


わたしは、目の前がす〜〜〜っとした。



なんだろう?私は何をあがいていたんだろう?
そっか、人生数十年のうちの、数週間かぁ・・・。


そう思ったら、なんだか急にやる気が出てきて、
次の日から、沢山持ってきたビジネス書を、
病室で読むようになった。


それまでの私は、患者さんの気持ちを
きちんと分かってあげられる看護をしていたし、
それを、学生に教えていた・・と思っていた。


でも、じつは、現実は異なっていた。


自分が患者になってみて、
入院患者さんがどんな気持ちで病室にいるのか?
看護者の言葉が、どんな風に突き刺さるのか?


わたしは、本当の意味を知らなかった。


知っているつもりでいた自分におごりは無かったか
とたんに、不安にもなった。


さらに、患者のライススタイルや、生活歴、性格を把握し、
適切なタイミングで、適切な言葉をかけられる。

まさに、これが、『ケア』なんだ。
そう、さらに深い認識へとおりることができたのも
このことがきっかけだ。


もちろん、私は、もう医療の現場にはいないし、
看護教育の現場にもいない。


今なら、また違った視点で
授業案を組み立てたかも知れないなぁ・・・と想いながら、
このブログが看護学生に見えてもらえたらうれしいなぁ・・
とも思う。


こんな私でも、少しは役に立つだろう。



posted by yoko.goto at 23:26| 神奈川 ☁| 社会のこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。